決まった数字を信じてはいけない理由
エンジンオイルは何キロごとに替えるべきだという話はどこでも聞きますが、その数字は車によって違います。エンジンの設計、オイルの規格、年式、メーカーの試験結果によって推奨時期が決まり、同じ車でも乗り方で変わります。昔の車を基準に定着した数字を今の車にそのまま当てはめると、早すぎる交換でお金を無駄にしたり、逆に厳しい条件で遅すぎる交換になってエンジンに負担をかけたりします。そこでこの記事では、特定の数字ではなく、自分の車の点検整備の案内を読む方法を説明します。取扱説明書やメンテナンスノート、メーカーのサイトの電子版から定期点検の表を探すのが出発点です。
点検表のしくみ
点検表は、ふつう横に走行距離や期間、縦に点検項目が並び、各欄に点検か交換かが記号で示されています。まず表の下や前のページにある記号の説明を読みましょう。点検は状態を見て必要なら補充や交換をするという意味で、交換は状態にかかわらず替えるという意味であることが多いです。また多くの時期は走行距離と期間が併記され、どちらか早く来たほうを基準にします。あまり乗らない人でも、オイルや冷却水、ブレーキ液は時間とともに性質が変わるので、期間が来れば交換の対象になります。
- まず記号の説明を読む: 点検か交換か
- 走行距離と期間のうち早いほうに従う
- オイル・フィルター・冷却水・ブレーキ液・バッテリー・ワイパー・タイヤを確認する
- 購入時期と今の走行距離を表に当てはめる
通常条件とシビアコンディション
多くの説明書は、点検表を通常の条件とシビアコンディションに分けています。シビアコンディションに当てはまると、一部の項目の時期が短くなります。よく挙げられるのは、短い距離の走行を繰り返す場合、渋滞の多い街中で低速走行やアイドリングが多い場合、ほこりの多い道や未舗装路をよく走る場合、重い荷物を積んだり牽引したりする場合、とても暑い地域や寒い地域をよく走る場合です。大事なのは、ふだんの通勤が思ったよりシビアコンディションに近いことがあるという点です。エンジンが十分に温まる前に止めることを繰り返すと、オイルに水分や燃料が混ざって性能が早く落ちます。自分の運転がどちらに当たるかは、説明書の定義を読んで判断してください。
項目ごとに見るポイント
エンジンオイルはエンジン内部の摩擦と熱を減らすので、最もよく気にかける項目です。オイルフィルターは、ふつうオイルと一緒に替えます。エアクリーナーとエアコンフィルターは、ほこりの量で詰まり方が違うので目で確かめるとよいでしょう。冷却水とブレーキ液は量だけでなく、時間とともに性質が変わるため、期間の基準も書かれていることが多いです。ブレーキパッドは摩耗の具合を点検し、多くの車は限界が近づくと金属のこすれる音が出るように作られています。バッテリーは、エンジンのかかりがいつもより重いと点検の合図です。ワイパーは筋が残ったりびびったりしたら交換時です。
記録がお金を節約する
いつ何を替えたかを記憶に頼ると、同じものを二度替えたり、肝心な交換を見落としたりしがちです。交換した日付、走行距離、整備工場、使った部品やオイルの規格を簡単に記録しておきましょう。スマートフォンのメモやカレンダーで十分です。次の交換時期を日付で通知するようにしておけば、期間の基準を逃しません。こうした記録は、あとで車を売るときに手入れの状態を示す根拠にもなります。整備の領収書は捨てずに一か所にまとめておくのがおすすめです。
- 交換した日付と走行距離
- 交換した項目と部品・オイルの規格
- 整備工場の名前と領収書
- 次の点検予定の時期
整備工場がすすめる交換の判断のしかた
整備工場で、これもそろそろ替えどきですと言われると判断に迷います。そんなときは、まず説明書の点検表と自分の記録を比べてみましょう。時期がまだ先なのに交換をすすめられたら、なぜ必要なのか、状態はどうなのかを見せてほしいと頼んでかまいません。すり減った部品や汚れたオイルを実際に見せてくれるところなら信頼しやすいでしょう。逆に、説明書にない添加剤や洗浄作業を定期的にすすめられるなら、本当に必要か一度考えてみる価値があります。保証期間中なら、メーカーが定めた点検を守ることが保証を受ける条件になることがあるので、保証の条件も確かめてください。
自分でできる簡単な点検
整備をすべて任せる場合でも、いくつかは自分で見られます。平らな場所に車を止め、エンジンが冷えてからボンネットを開けると、エンジンオイルのレベルゲージや、冷却水・ブレーキ液・ウォッシャー液のタンクの目盛りを確かめられます。場所と確認のしかたは説明書に図で載っています。熱いうちに冷却水のふたを開けると、沸いた液が噴き出してやけどをすることがあるので、絶対に開けないでください。駐車場所の地面に油や色のついた液のしみができたら、漏れかもしれないので早めに点検を受けましょう。
時期より症状が優先
点検表は、正常な状態を前提にした計画です。メーターの警告灯がつく、ブレーキで金属をこする音がする、ハンドルが震える、焦げたにおいや煙が出る、といった場合は、時期に関係なくすぐに点検を受けてください。とくにブレーキと冷却系の異常は、大きな事故やエンジンの損傷につながりかねません。この記事は一般的な読み方を説明するだけなので、具体的な交換時期と規格は、必ず自分の車の点検整備の案内と整備の専門家の診断に従ってください。
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